粉瘤はなぜできる?放置リスクや見分け方を解説

肌にしこりのようなできものは、もしかしたら「粉瘤」かもしれません。
粉瘤といった言葉を聞いたことがあってもなぜ粉瘤ができるのか、どういった人や部位にできやすいのか、放置するリスクなど知らないことも多いでしょう。
そこでこの記事では、粉瘤はなぜできるのか、放置するリスクやよく似た疾患などについて解説します。
肌にしこりのようなものができて悩んでいる方、粉瘤について詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
粉瘤はなぜできる?

そもそも、粉瘤とはどのようなものか、原因はなんでしょうか。
ここでは、粉瘤についてや原因、できやすい人や部位、予防方法まで解説していきます。
粉瘤とは
粉瘤とは、肌にできるしこりのようなもので基本的には良性の腫瘍です。
粉瘤は皮下できた袋のなかに角質や皮脂などが溜まってドームのように盛り上がったもので、中央には黒い毛穴(ヘソ)が見られることが多いです。
粉瘤の見た目はできる場所や人によって多少異なりますが、ニキビと似ている部分もあり、素人では見分けが難しい場合もあります。
しかし、ニキビは放置すれば自然治癒することもありますが、粉瘤は放置しても自然治癒しません。
粉瘤を治療せず放置すると、悪化して徐々にしこりが大きくなったり、炎症を起こすと赤くなったり痛みを伴うこともあります。
そのため、粉瘤を疑うしこりができた場合は「ニキビだから大丈夫」と決めつけず、早めに皮膚科を受診しましょう。
粉瘤ができる原因
粉瘤ができる原因ははっきりと分かっていませんが、毛穴の詰まり・外傷・ウイルス感染などが原因の1つとして考えられています。
毛穴の詰まりが原因と考えられていますが、粉瘤ができているからといって不潔というわけではありません。
粉瘤ができるのは体質が関係している面が大きく、毎日お風呂に入り、しっかりと身体を洗っている方でも粉瘤はできるうえに、全身どこでもできる可能性があります。
粉瘤ができやすい人
粉瘤ができる原因がはっきり分かっていないため、粉瘤ができやすい人も明確に特定はされていません。
しかし、ホルモンバランスが乱れやすい方や、汗をかきやすい方は粉瘤ができやすいといわれています。
遺伝的な要因はないとされていますが、女性よりも男性の方が粉瘤ができやすく、何度も繰り返し発症するケースも存在します。
粉瘤ができやすい部位
粉瘤は皮膚がある場所であればどこにでも発生する可能性があります。
その中でも、特に粉瘤ができやすいといわれているのは顔・首・耳周り・背中・おしりなどです。
このような共通点として、皮脂腺が多く衣類による摩擦の影響が受けやすいことが挙げられます。
粉瘤の予防方法
粉瘤の原因が明確に分かっておらず、予防方法に関しても確実な方法はわかっていません。
しかし、粉瘤は皮下に角質や皮脂が溜まったものであるため、毎日お風呂に入って肌を清潔に保ったり肌への刺激を避けたりすることは決して無意味ではありません。
このような対策で粉瘤が必ず予防できるわけではありませんが、毎日の正しいスキンケアで粉瘤を含む肌トラブルを起こしにくい肌作りを目指しましょう。
粉瘤を放置するリスク

粉瘤はニキビなどのように自然治癒しないため、必ず皮膚科などを受診する必要があります。
ただ、仕事や家事などが忙しくついつい病院に行かず、放置してしまう方もいるかもしれません。
ここでは、粉瘤を放置するリスクについて詳しく解説していきます。
感染リスク
粉瘤を放置すると細菌感染する可能性があります。
もし、細菌感染すると粉瘤の腫れたところが赤く痛みを伴うようになります。
細菌感染したままさらに放置した場合、最終的には敗血症などの全身的な感染症になるかもしれません。
赤みや痛みが伴う細菌感染の様子があればできるだけ早く皮膚科を受診し、正しい処置を受けましょう。
再発リスク
粉瘤は再発リスクが高いです。
特に細菌感染を繰り返したり、正しく処置されていなかったりした場合はより再発リスクが高くなります。
粉瘤の状態によっては自分で皮下に溜まった角質や皮脂を絞りだす方もいますが、角質や皮脂の入った袋までしっかりと取り出す必要があります。
そのため、自分で袋まで取り出すのは難しく、必ず皮膚科などを受診し袋ごと完全摘出してもらう必要があります。
大きさ増加リスク
粉瘤は放置するとどんどん肥大化していきます。
大きくなると見た目もぼこっと目立つようになるだけではなく、不快感や周囲の組織への圧迫感を与えてしまう可能性があります。
それだけではなく、大きくなった粉瘤は感染リスクがより高くなり、治療も難しく一度では全ての皮脂や袋を摘出できないかもしれません。
もし全て摘出できなければ再発リスクが上がります。
感染リスクや再発リスクを上げないためにも、完全摘出しやすい1~2cm以下の早期段階で治療を受けるのがおすすめです。
悪性化リスク
粉瘤は良性の腫瘍である場合がほとんどですが、まれに悪性化する可能性があります。
初めから粉瘤ではない腫瘍であった可能性もありますが、極々まれに粉瘤だったものが形状や色が変化したり急速に肥大化したりすることがあります。
こういった変化があった場合は悪性化リスクも考え、できるだけ早急に皮膚科などを受診し、本当に粉瘤なのか、今どういった状態なのかを診断してもらいましょう。
皮膚変形・瘢痕リスク
粉瘤が大きくなってしまったり長期間放置してしまったりすると、周囲の皮膚や組織にダメージを与えてしまい、皮膚変形・瘢痕が残るリスクがあります。
粉瘤の治療が完了しても、皮膚変形・瘢痕が残ってしまうため顔や腕など人目に付きやすい場所にあった場合はかなり気になってしまうかもしれません。
皮膚変形・瘢痕のリスクを抑えたい場合は、できるだけ小さいうちに処置を行い、処置方法についてもできるだけ瘢痕が残りにくい方法を相談しましょう。
血行不良・神経圧迫リスク
粉瘤ができる場所によっては、大きくなりすぎると血管や神経を圧迫してしまい、血行不良や神経圧迫のリスクがあります。
血管や神経を圧迫してしまうと、痛みやしびれを感じ、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
血行不良や神経圧迫を感じた場合、早急な措置が必要です。
できるだけ早く皮膚科などを受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
粉瘤と良く似た疾患

皮下にできた袋状のもののなかに角質や皮脂が溜まってドーム状に盛り上がるのが粉瘤ですが、その見た目からよく似た疾患が多数存在します。
粉瘤かほかの疾患かどうかは目視では分からない場合も多く、エコー検査などで大きさ・形状・広がり・血流の有無などを確認したうえで診断されます。
ここでは粉瘤とよく似た疾患を7つ紹介しますが、粉瘤かどうかは自己判断しないようにしましょう。
脂肪腫
粉瘤と同様によく見かける皮下腫瘍の一種が脂肪腫です。
脂肪腫(リポーマ)とは、脂肪細胞が良性的に増殖してできる腫瘍で脂肪組織が存在する部位であればどこにでも発生します。
中央に黒い毛穴がない粉瘤であれば脂肪腫との見分けはほぼつきません。
しかし、エコー検査を行えば見分けることができます。
脂肪腫も自然消失する可能性は低いですが、通常は早急な治療は必要ありません。
大きくなってきた場合は切除か脂肪吸引を行います。
血管脂肪腫
血管脂肪腫は腕や身体に多発する皮下腫瘍で、直径1cm程度のものが多いです。
粉瘤は多発することはほぼないため、多発していれば血管脂肪腫の可能性が高いです。
しかし、数が少ない場合は目視の判別が難しくエコー検査などを行い、粉瘤か血管脂肪腫かを見極めます。
ニキビ
ニキビは皮脂が角質と混ざって角栓になることで毛穴が詰まり、細菌感染などで炎症を起こす皮膚疾患であり、見た目が粉瘤と似ています。
しかし、ニキビは毛穴の感染が原因のためまったく違うものです。
ニキビは大きい場合でも数mmですが、粉瘤は数cmほどに巨大化するので大きくなると見分けが付きます。
また、ニキビは放置しても自然治癒しますが、粉瘤は自然治癒しません。
おでき
おできはせつとも呼ばれている毛包炎が進行したものです。
毛穴や皮脂腺などが黄色ブドウ球菌に感染し、毛根を包む毛包が炎症を起こすことで発症します。
おできが悪化するとより大きく腫れあがり、痛みが強く、発熱などの全身症状が出る場合があります。
ガングリオン
ガングリオンとは、指の付け根や手首にできるゼリー状の物が詰まった良性腫瘍です。
多くは良性で約80%が手首の周囲に発生します。
腫瘍は米粒大~ピンポン玉大であり、柔らかい物から硬いものまであります。
ほとんどは自覚症状はありませんが、神経や間接周辺に発症すると、痛み・しびれ・運動障害・感覚障害などを引き起こすかもしれません。
化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎はわきの下・乳首・肛門周りの毛包に炎症が起こり、瘢痕化・炎症・痛みなどを伴います。
化膿性汗腺炎の原因も不明ですが、ニキビのような隆起ができた後に痛みを伴う腫瘍などが形成されます。
繰り返し炎症と腫瘍を引き起こし、特に炎症性の粉瘤とは見分けが付きにくいです。
石灰化上皮腫
石灰化上皮腫とは、皮膚の一部が石灰のように硬くなってしまう良性の皮下腫瘍です。
こちらも発症原因はよく分かっていませんが、毛根に存在している毛母細胞を起因として腫瘍になっています。
比較的若い方や小児の顔や腕などに発症することが多いです。
基本的に自覚症状はありませんが、痒みや圧痛を感じることもあります。
粉瘤の見分け方

最後に粉瘤の見分け方を解説します。
しかし、粉瘤によっては若干形状が異なる場合もあり、自己判断は危険です。
医者もエコー検査などをしたうえで粉瘤かどうかを見分けるため、自己判断はせずできるだけ皮膚科を受診するようにしましょう。
開口部の黒点
粉瘤の特徴の1つとして、中央にある開口部のヘソとも呼ばれる黒点があります。
この黒点は毛穴が黒く見えていたり、皮脂が酸化していたりして黒く見えています。
しかし、すべての粉瘤に黒点があるわけではなく、毛根や汗腺部分の表皮細胞によって作られた粉瘤は黒点がありません。
また、皮脂が酸化していなければ黒く見えない場合もあります。
臭いのある内容物
粉瘤が一定の大きさになると少し圧迫することでたんぱく質が腐ったような、独特な腐敗臭を発する内容部が出てくる場合があります。
炎症が起きていれば、内容物が出ていない状態でも腐敗臭を感じることがあるかもしれません。
ほかにも悪臭を放つ腫瘍はありますが、特に粉瘤は臭いが出やすい腫瘍として知られています。
この悪臭を消すためには、粉瘤自体を取り除く必要があります。
少しずつ肥大化する
粉瘤は放置することで少しずつ肥大化していく場合が多いです。
最初はニキビのような小さな腫瘍ですが、袋状の中に角質や皮脂がどんどん溜まって肥大化していきます。
角質や皮脂が自然に袋から排出されることはなく、放置しても腫瘍が消えたり小さくなったりすることはありません。
粉瘤の大きさには個人差がありますが、大きい場合は直径10cmを超えることもあります。
自然治癒しない
粉瘤は自然治癒しません。
そのため、粉瘤が発生した場合、皮膚科などを受診して処置を受けなければずっと存在し続けます。
粉瘤が自然治癒しない理由としては、免疫機能の有無です。
ニキビなどには皮膚の免疫機能が働くことで化膿した膿などを取り除きますが、粉瘤には免疫機能がないため人為的に内容物や袋を取り除く必要があります。
粉瘤部分に強い力を加えると周囲の皮膚組織と癒着することもあり、処置を行っても瘢痕が残ってしまう可能性が高いです。
放置や自己処理を行うのではなく、病院で正しい処置を受けましょう。
まとめ
この記事では、粉瘤はなぜできるのか、放置するリスクやよく似た疾患などについて解説しました。
粉瘤とは、肌にできるしこりのようなもので基本的には良性の腫瘍です。
粉瘤ができる原因ははっきりと分かっていませんが、毛穴の詰まり・外傷・ウイルス感染などが粉瘤発生の原因の1つとして考えられています。
粉瘤は自然治癒するものではなく、放置するとさまざまなリスクが発生する可能性があるため、できるだけ早く皮膚科を受診するようにしましょう。
成増駅前かわい皮膚科は皮膚科専門医・がん治療認定である院長が傷跡の目立たない粉瘤の手術を行います。
特別大きくない粉瘤であれば局所麻酔で日帰りによる手術が可能です。
できるだけ傷跡が目立たないように傷跡が小さいくり抜き法を第一に選択しています。
もし、「粉瘤かも?」と思う腫瘍ができた場合は、ぜひ一度成増駅前かわい皮膚科までご相談ください。