アトピー性皮膚炎治療 デュピクセント
「デュピクセント」は、アトピー性皮膚炎の皮疹やかゆみの原因を抑える画期的な治療薬です。
従来の治療で充分な効果が得られなかった中等症~重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、高い改善効果が期待できます。
デュピクセントの適応
- アトピー性皮膚炎の症状が中等症~重症の方
- 抗炎症外用薬(ステロイド外用剤・プロトピック軟膏など)を一定期間投与しても、充分な効果が得られなかった15歳以上の方
- デュピクセント投与時に、抗炎症外用薬や保湿外用薬を継続して使用できる方(外用薬の併用が原則となるため)
デュピクセントの効果
デュピクセントは、皮疹やかゆみの原因を選択的にブロックすることで、アトピー性皮膚炎を改善へ導く薬です。
正常な皮膚では、「Th1」「Th2」といわれる免疫細胞がバランスよく存在しています。
アトピー性皮膚炎の皮膚では、「Th2」が増えた状態となっており、この「Th2」から分泌される「IL-4」「IL-13」「IL-5」「IL-31」などのサイトカインが皮膚のバリア機能の低下、炎症やかゆみを引き起こすとされています。
デュピクセントは、炎症、かゆみの原因であるサイトカイン「IL-4」「IL-13」の働きをブロックすることで炎症反応を抑制する、画期的な薬剤です。また「IL-4」は、「Th2」を増強させる作用がありますが、「IL-4」の働きをブロックすることで、「Th2」そのものの働きを抑制することもできます。
アトピーの原因に根本からアプローチすることで、皮膚本来のバリア機能を取り戻し、皮膚トラブル改善へと導くことができます。
デュピクセントは、 これまでステロイドなどの抗炎症外用薬に頼るしかなかったアトピー性皮膚炎に対して、新しい治療の選択肢として効果が期待できます。
デュピクセントの症例
幼少期からアトピー性皮膚炎を発症していた、30代男性の症例です。外用療法と光線療法で改善がみられず、デュピクセントによる治療を開始しました。
デュピクセント投与開始から9ヶ月後、全身の症状が明らかに変化しているのが分かります。
成増駅前かわい皮膚科:デュピクセントによるアトピー性皮膚炎の症例
・治療後写真:投与開始9ヶ月後
・治療内容:アトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント」
・料金:下記「デュピクセントの治療費の目安」参照
・副作用:注射部位の痛みや腫れ、皮膚、目周りなどに赤み、かゆみ、乾燥が生じることがあります。
※効果には個人差があります。
デュピクセントの投与方法
デュピクセントは、「皮下注射」という方法で注射します。
1本の注射に300mg含まれており、初回のみ2本(600mg)を注射します。その後しばらくは、2週間に1本を注射します。
自己注射について
医師により適用が妥当と判断された患者さんについては、自己注射も可能です。
自己注射を行うためには、最低2回の指導※を院内で受けていただく必要がありますが、2週間毎の通院が難しい方やご自身のスタイルで治療したい方におすすめです。最大6バイアル(3ヶ月分)までの処方が可能なので、3ヶ月毎の受診で治療を継続していくことができます。
また年収次第で、高額医療費の助成を受けることもできます。
※指導料が別途必要となります。
初診時の注意点
初診時は、デュピクセントの投与はせず、診察のみを行います。
これまで、どのような治療を行ってきたかを踏まえて、現在のアトピー性皮膚炎の症状をスコア化し、デュピクセントの治療が適応がどうかを判断します。また、デュピクセントは高額な治療となるため、医療費や高額医療費の助成について説明した上で、ご自身で治療を行っていくか決めていただきます。 治療が確定したら、次回来院時よりデュピクセントの投与をスタートします。
デュピクセントは冷蔵庫にて保管していますが、45分以上前に適温に戻す必要があるため、投与の際は予約が必須となりますのでご注意ください。
デュピクセントの治療費の目安
デュピクセントには、「ペン」と「シリンジ」の2種類のタイプがあります。それぞれの価格は、以下となり、わずかですが「シリンジ」タイプのほうがお安くなります。
デュピクセント1本あたりの費用
ペン:66,562円 | シリンジ:66,356円
※2020年11月時点のデュピクセントの薬価を下に計算しています。(今後、価格が変更になる可能性があります。)
※別途、初診料、再診料、処方箋料などがかかります。
※以下に当てはまる方は高額療養費制度の対象になる可能性があります。
1)年収370万円未満 2)住民税非課税者
医療費助成制度について
デュピクセントは、非常に効果が高く、満足度も高い治療ですが、治療を続けていく上で、費用について心配される方が多くいらっしゃいます。経済的な負担を減らすために、さまざまな医療費助成制度がありますので、ぜひ以下を参考にしてください。
デュピクセントの薬剤費と医療費助成制度
医療費助成制度について高額療養費シミュレーション
試算してみるデュピクセントの治療の流れ
事前診察(治療前診察)
治療前に、これまでのアトピー性皮膚炎の治療期間や治療内容をお伺いし、皮疹の程度をスコア化します。(その際、採血や皮膚状態を撮影させていただくことがあります。)
その上で治療が適応と判断されれば、次回来院時より治療スタートとなります。
また、治療費や助成金についてもしっかり説明させていただきます。治療内容や費用についてご理解いただき、持続的な治療が可能かどうかご自身でご判断いただきます。
初回投与
初回のみ、デュピクセントを2本(600mg)注射します。
自己注射を希望される方には、注射指導も行います。
当日は注射部位への刺激は避けてください。体調が悪いなど、異常を感じたらすぐにクリニックまでお問い合わせください。
2回目投与(初回から2週間後)
2回目から、デュピクセント1本(300mg)を注射します。
自己注射を希望される方には、2回目の注射指導も行います。
3回目投与(初回から4週間後)
デュピクセント1本(300mg)を注射します。
自己注射を希望される方には、2ヶ月分(4本)もしくは3ヶ月分(6本)分の薬剤の処方が可能です。
クリニックでの注射を希望される方は、4回目以降も2週間毎にご来院いただきます。
※ 初回投与と2回目投与は院内にて行います。処方箋をお出しして、自宅などで自己注射ができるのは、最速で3回目以降からとなります。
他院にてデュピクセント導入済みの方
他院にてデュピクセント導入済みの方でも対応可能です。
当院で治療を行うにあたって、導入時の医師の皮膚症状評価が必要となりますので、紹介状(診療情報提供書)をお持ちください。
よくあるご質問
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Q. デュピクセント投与から何回目で効果を実感できますか?
個人差はありますが、1回目投与後、2週間ほどで効果を感じる方もいらっしゃいます。
通常、投与スタートから16週までには治療効果を得ることができます。 -
Q. 治療はどのくら続ける必要がありますか?
発疹やかゆみなどアトピー症状の改善効果が得られてから、最低6ヶ月は治療の継続をおすすめしています。また、デュピクセント投与終了後も、良い状態を保つために外用療法を続けていただく必要があります。
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Q. 一度ストップしたデュピクセントの投与を再開することはできますか?
はい、できます。
デュピクセントをやめた後も外用療法は続けていただくので、もし外用剤のみでアトピー症状をコントロールできなくなったら、デュピクセントを再開することができます。
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Q. 治療をスタートしてから、途中で投与をストップしても大丈夫ですか?
安全性には問題ありませんが、症状の改善がきちんと現れる前に治療をストップしたり、2週間の投与間隔が崩れると、治療効果が低下する可能性があります。
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Q. デュピクセントの自己注射は難しいですか?
デュピクセントは皮下注射で、皮膚に「あてて、押す」だけの簡単なペンタイプもあります。自己注射はそこまで難しくはないと思いますが、もしご不安があっても、医師、看護師がご自身でできるまでしっかりと指導しますので、ご安心ください。
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Q. クレジットカードでの支払いは可能ですか?
当院は保険診療もキャッシュレス決済で対応可能です。
デュピクセントの副作用・注意事項
・注射部位の、赤み、腫れ、かゆみなど(注射部位反応)が起こることがあります。
・薬剤投与後すぐ、過敏反応により、眩暈、腹痛、吐き気、舌の腫れなどが生じることがあります。
・治療を続けていくと、皮膚に発疹が生じたり、発熱、倦怠感、手足のしびれなどの症状が現れることがあります。体調に異常を感じたらすぐにクリニックまでお問い合わせください。
以下の方は、デュピクセント投与の際に注意が必要です。
・喘息などのアレルギー疾患をお持ちの方
・寄生虫感染症疾患の方
以下の方は、デュピクセントの治療は避けていただいています。
・妊娠又はその可能性がある方、授乳中の方
・高齢者の方
・15歳未満の方
アトピー性皮膚炎治療について
「アトピー性皮膚炎治療 デュピクセント」は、中等症~重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、厚生労働省から薬事承認を取得しています。