ひょう疽(爪周囲炎)
ひょう疽(ひょうそ)は、手足の指先に細菌が入り込み、赤く腫れたりする感染症です。
指のささくれなど、指先の小さな傷から感染します。乳幼児の指しゃぶりで指が湿った状態を放置すると感染することもあるので、注意が必要です。
ひょう疽(爪周囲炎)の原因
指先の小さな傷、ささくれや巻き爪などの傷から細菌が侵入することで感染が起こります。
主な原因菌は、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌ですが、大腸菌、緑膿菌などによって生じることもあります。
水仕事などで日常的に手が荒れている方に起こりやすいですが、子どもの指しゃぶりで皮膚がふやけていたり、絆創膏を長時間貼っていたりするのも発症の原因となります。女性の場合、マニュキア・ジェルネイル、甘皮の除去などで、知らず爪付近を傷つけてしまい、発生リスクが高まることがあります。
ひょう疽(爪周囲炎)の症状
爪の縁に沿って赤く腫れあがり、強い痛みを生じます。症状が悪化すると、指の腹部にも広がり、かなり強い痛みを伴います。
ひょう疽は、膿ができる感染症のため、皮膚の下では、炎症だけでなく、浸出液や膿が溜まり、皮膚内を圧迫してしまうのが痛みの原因です。
痛みによる不快感などから患部を触ると、症状はより悪化します。また、ひょう疽は、骨に近いところで発症するため、悪化すると骨髄炎に発展するなど、周辺組織に感染がおよぶこともあるので、早期治療が大切です。
ひょう疽(爪周囲炎)の診断
原因菌によって治療法が異なるため、腫れの状態や痛みの程度など、丁寧に状態を診察します。
症状によっては血液検査を行うこともあります。
ひょう疽(爪周囲炎)の治療
基本は、抗菌薬(内服)による治療を行います。
膿が溜まっている場合は、切開して膿を取り除きます。傷口がぐじゅぐじゅとしているようなら、抗菌薬を含む外用薬を併用します。
ひょう疽の原因は細菌のため、細菌を死滅させないと再発する可能性があります。症状によっては、治療が長引くこともありますが、継続治療で完治させることが重要です。
なお、ヘルペスウイルスが引き起こす、疱疹性ひょう疽(ヘルペスひょう疽)もあり、細菌性のひょう疽と似た症状を引き起こしますが、治療は抗ウイルス薬の内服が基本となります。