尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)は、皮膚の色が抜けてしまい、脱色素斑ができる皮膚疾患です。
「白斑」には、遺伝による先天性のものと後天性のものがあり、尋常性白斑は後天性のものとなります。
痛みやかゆみはありませんが、尋常性白斑はまだらに皮膚の色が抜けてしまうため、外観的な問題で悩まれる患者様が多い症状です。
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)の症状
シミの原因としても知られるメラニン色素は、紫外線から皮膚を守るために産生されます。尋常性白斑は、このメラニン色素を作り出すメラノサイトに異常が起こり、メラニンが作られなくなることで生じます。
尋常性白斑になるとメラニンが完全に消失するため、白い斑点ができます。最初は、親指の先くらいの白斑ができ、症状が進行すると、白斑が大きくなったり、症状が全身へと広がることもあります。
また、尋常性白斑は白斑の現れ方で、大きく3種類に分類されます。
分節型
医学的に、皮膚はいくつかの領域に分けられています。その領域内で白斑が現れるものを指します。
体の片側にできることがほとんどですが、まれに左右対称で現れることもあります。
非分節型・限局型
狭い範囲に、複数の白斑ができるものを言います。白斑が大きくなり、分節型に移行することがあります。
非分節型・汎発型
尋常性白斑の半数以上を占める症状で、体のあちこちに白斑が現れます。体の中でも、顔、首、手に生じることが多いです。
症例出典:公益社団法人日本皮膚科学会『皮膚科Q&A:白斑』より
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)の原因
尋常性白斑は、メラノサイトがメラニン色素を作れなくなることで起こりますが、その原因は、明確に分かっていません。
自己免疫性疾患のひとつとも言われ、細菌やウイルスを攻撃する免疫機能が、何かしらの要因でメラノサイトを攻撃してしまうことで発症すると考えられています。
他にも、過度のストレス、火傷、日焼けなどの刺激によって起こるとも言われています。
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)の治療
尋常性白斑には、大きく分けて3種類の治療があり、白斑の大きさや範囲に応じて、適切な治療法を提案いたします。
外用療法
塗り薬を用いた治療法で、白斑が小さい場合などに適応されます。
炎症を抑えるステロイド剤やビタミンD誘導体、免疫の過剰な働きを抑える免疫阻害剤などの塗り薬を活用します。
紫外線療法(ナローバンドUVB療法)
体のあちこちに白斑が現れる「汎発型」の場合、適応となる治療法です。特定範囲の紫外線を白斑部分に照射することで、色素再生を促すことができます。
外用薬と併用して治療することもあります。
当院では、紫外線による副作用を最小限に抑えることができる「ナローバンドUVB療法」を行っています。小児・妊婦でも受けられる、安全性の高い治療です。
詳しくは、「ナローバンドUVB療法」の項目を参考してください。
ナローバンドUVB療法手術療法
外用治療や紫外線治療で充分な効果が得られず、より積極的な治療を希望される方には、皮膚移植などの手術療法が選択肢となります。
症状によって適応となる際は、総合病院や大学病院への紹介をさせていただきます。