金属アレルギー検査(金属パッチテスト)
金属アレルギー検査(金属パッチテスト)は、金属を含んだ試薬を皮膚に貼り付け、アレルギー反応が起こるかどうかを調べる検査です。
当院の金属アレルギー検査は、保険適応となっており、15種類の金属についてのアレルギー反応を検査することができます。また、ピアスの穴あけ(ピアッシング)と合わせて、検査を受けることなども可能です。
金属アレルギーの症状
アレルギーにはいくつかの種類があり、中でも、肌にものが触れることによって、かゆみ・炎症などのアレルギー反応を起こすものを「接触皮膚炎(かぶれ)」と言います。
「接触皮膚炎(かぶれ)」は、植物、衣類、化粧品など、さまざまなものに触れることで発症しますが、特定の金属が発症原因となる場合、「金属アレルギー」と診断されます。
金属アレルギーは、直接金属に触れることでアレルギー反応を起こすわけではありません。
アクセサリーや歯科治療などに使用される金属は、汗や体液に触れると溶け出し、金属イオンとなって体内に入り込みます。体内に入った金属イオンが、体の免疫機能により、“異物”と認識されると、“異物”を排除しようとして炎症などのアレルギー反応が起こります。
発症するまでに時間がかかることもあるため、アレルギー反応が起こっても、その原因が「金属にある」と気づかない方も少なくありません。
【保険適応】金属アレルギー検査(金属パッチテスト)
金属アレルギー検査は、金属試薬を含ませたシール状のパッチを直接皮膚に貼り、アレルギー反応が生じるかどうかを調べる検査です。アレルギーの原因となる成分を長時間皮膚につけ、意図的に“かぶれ”を起こすことで、アレルゲンを特定することができます。
検査用のパッチは、上背部もしくは上腕に貼ります。服で隠れる部分なので、ご安心ください。
当院で行っている金属アレルギー検査は、保険適応となっております。また、15種類の金属に対するアレルギー検査を行うことができる、鳥居薬品株式会社の金属アレルギー検査試薬を使用しています。
金属アレルギー検査の検査項目
1 | 塩化アルミニウム | 9 | 四塩化イリジウム |
---|---|---|---|
2 | 塩化コバルト | 10 | 臭化銀 |
3 | 塩化第二スズ | 11 | 重クロム酸カリウム |
4 | 塩化第二鉄 | 12 | 硫酸ニッケル |
5 | ヘキサクロロ白金酸 | 13 | 塩化亜鉛 |
6 | 塩化パラジウム | 14 | テトラクロロ金酸 |
7 | 塩化マンガン | 15 | 硫酸銅 |
8 | 三塩化インジウム |
引用:『パッチテスト試薬金属』添付文書、鳥居薬品株式会社より
金属アレルギー検査の適応症状
金属接触皮膚炎の方(ピアス・ネックレスなどアクセサリー、時計、ベルトのバックル、歯科治療による詰め物などでアレルギー反応が起こる方)。
内炎、口角炎、舌炎、扁平苔癬、顔面湿疹、掌蹠膿疱症、貨幣状湿疹などの難治性湿疹なども適応となります。
また、食品に含まれる金属によって、アレルギー反応が起こることもあります。金属アレルギー検査で陽性となった場合、原因となる金属を完全に摂取しないようにするのは難しいため、アレルゲンとなる金属を多く含む食品を、できる限り摂取しないよう注意する必要があります。
金属アレルギー検査(金属パッチテスト)の流れ
ドクター診察・カウンセリング
まずは診察にて症状などをお伺いし、金属アレルギー検査が適応かどうかの診断を行います。
パッチテスト(1回目検査)
15種類の金属試薬を含むパッチを、背中に貼ります。パッチは、48時間貼りつけたままにします。
パッチを剥がすまでは、入浴や汗をかくような運動は控えるようにしましょう。
2日後(48時間後、1回目判定)
パッチを貼ってから2日後、判定のためにご来院いただきます。
パッチを剥がし、30分時間をおいてから、皮膚の状態を診察します。
新たにパッチはしませんが、検査が終了するまで、検査部位をこすったり、強く洗ったりなどしないよう注意しましょう。
3日後(72時間後、2回目判定)
再度ご来院いただき、皮膚の状態を診察します。
この日の判定後から、テスト部分も含めシャワーが可能となります。
7日後(3回目判定)
金属アレルギーは時間が経ってから発症することもあるため、7日後にもご来院いただき、最後の判定を行います。
パッチを貼った部分の炎症、かぶれ状態から、アレルゲンとなる金属を特定します。
検査のスケジュール例
判定日が一つでも日曜日や祝日の場合は、そのスケジュールで検査を行うことができません。
また、検査当日から2回目判定(3日後)を終えるまでは、パッチテスト部分(主に背中や二の腕)を濡らすことはできません。湯船に入ることはできませんが、頭や下半身などのシャワー浴は可能となっています。
図のスケジュール例を参考に、あらかじめ、検査後のご予定を確認の上、検査を受けるようにしてください。
※当院は日曜と祝日が休診日です。
金属アレルギー検査(金属パッチテスト)の注意事項
・パッチを貼っている間は、検査部位を濡らさないよう注意してください。湯船に入ることや汗をかきやすい行動も控えてください。試薬が流れてしまったり、汗で赤みが出てしまい、適切な判定ができなくなります。
・抗ヒスタミン剤やステロイド剤を内服をしていると、正確な判定ができなくなります。内服している方は、事前診察の際にお伝えください。
・塗り薬などの外用薬を使用中の場合、検査部位やその周囲でなければ、使用を続けても問題ありません。
・パッチテスト開始から判定終了までの日程がずれてしまうと、正しい判定ができなくなります。また、炎症やかぶれなどが生じた場合、迅速な処置ができなくなり、症状が悪化してしまうこともあります。金属アレルギー検査をご希望の方は、事前にスケジュール調整をしていただき、予定通りに受診していただくようお願いいたします。
・陰性(問題なし)と判断された場合でも、パッチテスト以外の条件下でアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性は否定できませんので、あらかじめご了承ください(偽陰性の可能性)。