ナローバンドUVB療法(全身型、部分型)
ナローバンドUVB療法は、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、尋常性白斑、菌状息肉症など、難治性の皮膚疾患に対して有効な保険適用の光線療法です。
高い治療効果を発揮しながら、紫外線による副作用が最小限に抑えられているため、小児・妊婦でも安心して治療を行うことができます。また、従来の紫外線療法のように薬を飲む必要がなく、照射時間も短くなったため、治療にかかる負担も抑えられているのが特徴です。
当院では、従来大学病院や総合病院などでしか受けることのできなかった紫外線治療機器を、「全身型」と「部分型」の2つを揃え、仕事帰りや自宅から負担なく治療が継続できることを目標としています。
ナローバンドUVB療法の適応疾患【保険適応】
- アトピー性皮膚炎
- 円形脱毛症
- 尋常性白斑
- 尋常性乾癬
- 類乾癬
- 掌蹠膿疱症
- 菌状息肉症
- 悪性リンパ腫
- 慢性苔癬状粃糠疹
ナローバンドUVB療法とは
ナローバンドUVB療法は、紫外線の1種であるUVBの中でも、皮膚疾患に効果が認められている311~313nm(ナノメートル)という幅の狭い波長(ナローバンド)のみを照射することができる光線療法です。
特定範囲の紫外線のみを照射することで、紫外線による副作用を最小限に抑えることができるため、妊婦と一部小児でも治療可能な安全性の高い治療となっています。
ナローバンドUVB療法の照射範囲
地上に届く太陽光の中には、紫外線、可視光線、赤外線があり、さらに紫外線はUVA、UVB、UVCの3種類に分けられます。
ナローバンドUVB療法は、紫外線・UVBの中の狭い範囲(ナローバンド)のみを用いて治療を行います。
ナローバンドUVB療法の治療効果
ナローバンドUVB療法には、次のような細胞に働きかける作用があります。
・病気を抑えたり、悪化させたりする細胞に影響を与える
・細胞と細胞をつなぐ物質に影響を与える
・アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの原因となる細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導する
・病状を抑える細胞を誘導する
これらの作用から、これまでステロイド外用薬や内服薬などの治療で充分な改善が得られなかった患者様でも、ナローバンドUVB療法との併用による相乗効果で高い改善効果を発揮できるようになりました。
また、治療薬の強度を弱めたり、来院頻度を減らすこともできることから、治療における負担を抑えることができます。
症状に合わせて治療可能な、全身型/部分型ナローバンドUVB療法
当院では、「全身型」と「部分型」と2つの紫外線治療機器を取り揃えています。
症状が全身に広がっているアトピー性皮膚炎や乾癬の患者様には全身照射を、円結脱毛症や白斑などの患者様には局所照射と、一人ひとりに合わせた紫外線治療を行っています。
【全身型】ナローバンドUVB療法
1970年に設立された米国ボストンのレーザー会社を発祥とするシネロン・キャンデラ社のダブリン7シリーズ三面鏡型紫外線治療器を採用しています。
立ったままで体の全面、後面を照射することができるため、短時間で全身の治療を行うことが可能です。
【部分型】ナローバンドUVB療法
ナローバンドUVB療法の治療概要
治療時間 | 治療範囲にもよりますが、1回5~15分程度です。 |
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治療回数 | 疾患や症状によって異なりますが、10回前後で効果が出てきます。 |
治療間隔 | 週に1~2回が推奨されますが、症状改善後は治療間隔を延ばしていくことも期待できます。 |
ナローバンドUVB療法の起こりうる主な副作用
・軽度のやけど、ヒリヒリ、ほてり
徐々に照射時間を延長するため、激しいやけどは生じません。
・色素沈着
個人差はありますが、従来の紫外線療法よりかなり少ないものです。
・治療回数が増えると、皮膚腫瘍(がん)の発生につながる可能性があります
これまでの研究報告から非常に少ないと考えてよいですが、全くないわけではありませんので、治療前に医師からご説明いたします。
ナローバンドUVB療法を受けられない方
副作用などの関係で、治療が行えない方がいらっしゃいます。まずは受診で相談をしてください。
・日光過敏症(紫外線を含む、日光に対して過敏症がある方)
・膠原病があり、日光によって増悪する可能性がある方
・皮膚の悪性腫瘍(がん)や前がん状態(皮膚がんの一歩手前、日光角化症など)がある方
・免疫抑制効果のある特定の内服薬や外用剤を使用している方