毛虫皮膚炎
毛虫皮膚炎は、ガや蝶の幼虫である毛虫が持つ、毒針毛(どくしんもう)や毒棘(どくきょく)に触れることによって起こる皮膚炎です。
毒針毛や毒棘は肉眼では見えないので、気づかないうちに触れてしまっていたり、風で飛ばされてきた毒針毛が皮膚に付着したり、と知らず発症することがあります。
毛虫皮膚炎の代表的なものは、チャドクガの幼虫によるものです。幼虫の孵化時期である、5~6月、8~9月に多く発生するので注意が必要です。
毛虫皮膚炎の症状
毛虫皮膚炎の症状は、赤くボワッとした膨疹が生じる「即時型反応」と、1~2日後に赤いブツブツした皮疹が生じる「遅延型反応」の2種類があります。
「即時型反応」は、チクチクとした痛みや強いかゆみを伴ることもあります。毛虫皮膚炎は、毒成分や体質によるアレルギー反応によって起きるため、症状の出方には個人差があります。
皮疹は左右非対称に現れ、首やうでに集中して生じるのが特徴です。掻くと症状が広がり、ひどい場合は「とびひ」などになることもあります。毛虫皮膚炎の症状が疑われる場合は、早めに受診するようにしましょう。
症例出典:『皮膚科Q&A:虫さされ』公益社団法人日本皮膚科学会
毛虫皮膚炎の原因
毛虫皮膚炎の主な原因となるのは、チャドクガの幼虫です。
チャドクガの幼虫には、長さ0.1~0.2mmの微細な毒針毛が50~100万本以上もあります。この毒針毛が皮膚に触れることで、赤いブツブツなどの症状が生じます。
毒針毛に直接触れていなくても、体から抜けた毒針毛が風に飛ばされて、皮膚に付着することで毛虫皮膚炎を発症することがあります。また、植物や洗濯物に付着した毒針毛に触れて、発症することもあります。
チャドクガの幼虫は、庭木や公園のツバキ、サザンカなどを好んで生息しています。5~6月、8~9月に発生するので、この時期は注意が必要です。
毛虫皮膚炎の対処法と治療
毒針毛に触れてしまった際は、患部に触れないよう注意しながら、ガムテープなどの粘着テープを使って毒針毛を取り除くようにしましょう。その後、しっかりと洗い流します。
かゆみや炎症が強い場合は、ステロイド外用剤で治療します。炎症が強く、症状の範囲が広い場合は、ステロイド内服薬を使用することもあります。
毛虫皮膚炎の予防方法
毛虫皮膚炎は強いかゆみを伴うため、患部を掻きむしって「とびひ」など別の皮膚炎に発展することがあります。症状を悪化させないよう、早めの受診・治療も大切ですが、毛虫皮膚炎にならないように予防することも重要です。
公園など屋外で遊ぶ時
- ツバキやサザンカに幼虫がいないか確認し、いる場合は近づかない。
- 幼虫は木を揺らすだけでも落ちてくるので注意する。
- 枝や葉に残った毒針毛は、風で飛ばされることがあるので、強風の日は注意する。
庭木などの駆除対策
- 幼虫や卵を早めに見つけ、ビニールなどをかぶせて枝ごと切る。
- 幼虫が発生する木は毎年決まっていることが多いため、出現前に駆除剤を散布しておく。
自宅での対策
- 洗濯物を室内干しに変える。
- 毛虫に触れた可能性のある衣類を他の衣類と分けて、複数回洗濯する。