皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)
皮脂欠乏性湿疹とは

皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)とは、皮膚の表面を覆う皮脂や水分が不足することで皮膚バリア機能が低下し、外部からの刺激に過敏になることで生じる湿疹性疾患です。「乾燥性湿疹」や「ドライスキン」とも呼ばれます。
加齢とともに皮脂の分泌量が減少するため、特に高齢者に多くみられる疾患で、65歳以上の方の半数以上に何らかの乾燥による皮膚トラブルがみられるとされています。空気が乾燥する秋から冬にかけて症状が悪化しやすく、暖房の使用による室内の乾燥も誘因となることがあります。
皮脂欠乏性湿疹の症状
皮膚のかゆみ(搔痒感)
乾燥した皮膚が刺激を受けやすい状態になることで、強いかゆみが生じます。特に入浴後や就寝中など、体が温まったタイミングでかゆみが増すことがあります。
粉ふき・皮膚のざらつき(落屑)
皮膚の表面が白っぽく粉をふいたように乾燥し、皮膚の表面(角質層)がフケやアカのようにボロボロと剥がれ落ちる症状です。触るとざらざらとした感触になります。
すねや腕など、皮脂腺の少ない部位に現れやすい症状です。
赤み・発疹(紅斑・丘疹)
皮膚の乾燥が進むと、皮膚に赤みや細かいぶつぶつが現れることがあります。かいてしまうと症状が広がり、悪化する場合があります。
皮膚のひび割れ(亀裂)
乾燥が強い場合、皮膚にひびが入り、痛みを伴うこともあります。特に手や足のかかとに起こりやすい症状です。
自覚しにくい乾燥(不感性乾燥)
かゆみや赤みなくても、皮膚の内部では乾燥によるバリア機能の低下が進んでいることがあります。「かゆくないから大丈夫」と放置していると、湿疹へと移行することがあるため注意が必要です。
皮脂欠乏性湿疹の受診タイミングと判断のポイント
皮脂欠乏性湿疹は、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎(かぶれ)など、似た症状を示す疾患との判別が重要です。次のような症状がある場合は、症状が悪化する前に、早めに受診して医師にご相談ください。
- ・保湿剤を使っているにも関わらず、乾燥やかゆみが改善しない
- ・就寝中にかゆみで目が覚めたり、搔き傷が絶えない
- ・赤みや発疹が広い範囲に広がってきたと感じる
- ・高齢の家族が全身をかきむしっている、あるいは皮膚がひどく乾燥して赤くなっている
皮脂欠乏性湿疹の治療
皮脂欠乏性湿疹の治療は、保険診療で行うことができます。
治療の基本は「スキンケアによる保湿」と「炎症を抑える薬物療法」の組み合わせです。皮膚の乾燥を補うために、ヘパリン類似物質配合の保湿剤やワセリンなどの外用薬(塗り薬)を継続して使用します。すでに湿疹が生じている部位には、ステロイド外用薬を用いて炎症を鎮める治療を行います。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。
皮脂欠乏性湿疹の症状が落ち着いた後も、乾燥が続く限り保湿ケアを習慣として継続することが再発予防のために大切です。皮脂欠乏性湿疹は季節性のある疾患のため、乾燥が強まる時期には早めのスキンケアを心がけることが重要です。
当院では、症状の程度や部位に合わせて、適切な保湿剤・外用薬を処方し、日常のスキンケア指導もあわせて行っています。アトピー性皮膚炎など他の湿疹疾患との鑑別が必要な場合には、ダーモスコピーを用いた丁寧な診察を行っていますので、気になる症状がある場合は、気軽にご相談ください。
よくある質問
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Q1. 皮脂欠乏性湿疹は若い人でもなりますか?
皮脂欠乏性湿疹は高齢者に多くみられる疾患ですが、若い方にも起こることがあります。
過度な洗浄(洗いすぎ)、長時間の入浴、乾燥した環境での生活、アトピー素因がある方などは、年齢に関わらず皮脂が失われやすく、乾燥性の湿疹が生じることがあります。
また、冬場に初めて症状が出て「年のせいだろう」と放置してしまうケースも少なくありません。年齢を問わず、乾燥によるかゆみや赤みが続く場合は一度ご相談ください。
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Q2. 皮脂欠乏性湿疹は市販の保湿クリームで治りますか?
軽度の乾燥であれば、市販の保湿剤で症状が和らぐことがあります。
しかし、すでに湿疹(赤みや発疹)が生じている場合は、保湿だけでは炎症を十分に抑えられないことがあります。また、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎など他の疾患が隠れている場合もあるため、症状が長引く場合や悪化する場合は、自己判断せずに皮膚科を受診されることをおすすめします。
医師の診断のもとで適切な保湿剤や外用薬を選ぶことが、改善への近道です。
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Q3. お風呂やシャワーで気をつけることはありますか?
皮脂欠乏性湿疹では、入浴の際のケアが症状の悪化防止に重要です。
湯温は38~40℃程度のぬるめのお湯が適しています。熱いお湯は皮脂を必要以上に洗い流し、乾燥を悪化させることがあります。また、ナイロンタオルなどで皮膚を強くこすることは避け、石けんは泡立てて手で優しく洗うようにしてください。
入浴後は清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取り、数分以内に保湿剤を塗布することが大切です。具体的なスキンケアの方法は、診察の際に丁寧にご案内いたします。
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Q4. 皮脂欠乏性湿疹の治療はどのくらいかかりますか?
皮脂欠乏性湿疹の治療期間は、症状の程度や生活環境によって個人差があります。
外用薬で炎症を抑えた後、症状が落ち着いてからも保湿剤によるスキンケアは継続が必要です。乾燥しやすい秋~冬の時期にくり返し悪化する方も多く、「症状がないシーズン」も予防的なスキンケアを習慣にしておくことが重要です。一度の治療で完結する疾患ではなく、皮膚のコンディションを維持しながら付き合っていく疾患として捉えていただくと、再発の予防につながることがあります。
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Q5. 皮脂欠乏性湿疹とアトピー性皮膚炎はどう違いますか?
どちらも皮膚のかゆみや赤みを伴い、症状が似ているため混同されることが多々あります。
主な違いとして、アトピー性皮膚炎はアレルギー素因(アトピー素因)を持ち、幼少期から慢性的にくり返す傾向があります。一方、皮脂欠乏性湿疹は皮脂の減少による乾燥が直接の原因で、特に高齢者や乾燥が強い季節に多くみられます。
ただし、皮脂欠乏性湿疹とアトピー性皮膚炎が重なって生じる場合もあり、見た目だけで判断することは難しいこともあります。正確な診断のためにも、気になる症状がある場合は診察にてご相談ください。
皮脂欠乏性湿疹の関連項目
皮脂欠乏性湿疹に似た疾患に関する以下の項目もぜひ参考にしてみてください。
記事制作監修
成増駅前かわい皮膚科
院長 河合 徹














