伝染性紅斑(りんご病)とは
伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)、通称「りんご病」は、ヒトパルボウイルスB19の感染によって引き起こされる疾患で、主に小児に多く見られます。頬が赤くなる特徴的な発疹から「りんご病」と呼ばれています。

出典:厚生労働省ホームページ 伝染性紅斑の症状例
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/fifth_disease.html
疾患概念
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19の感染による発疹性疾患で、特に2~12歳の幼少児に多く見られますが、乳児や成人が罹患することもあります。潜伏期間は4~15日で、顔面、特に頬部に境界明瞭な紅斑が突然出現し、その後、四肢にレース様の紅斑が現れるのが特徴です。多くの場合、発疹が出現する7~10日前に微熱や風邪のような症状が見られ、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。発疹が現れる時期にはウイルスの排出量は低下し、感染力もほぼ消失します。
伝染性紅斑(りんご病)の診断
診断は、典型的な臨床症状である頬部の紅斑や四肢のレース様紅斑の出現に基づいて行われます。必要に応じて、血清中の特異的IgM抗体の検出が行われることもあります。
伝染性紅斑(りんご病)の治療方法
伝染性紅斑に特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。例えば、かゆみが強い場合にはステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬の使用が検討されます。通常、予後は良好であり、自然に回復します。
発症後の経過
多くの場合、合併症を起こすことなく自然に回復します。しかし、溶血性貧血の患者では、汎血球減少を起こすことがあります。また、妊婦が感染すると、胎児に感染し、胎児水腫や流産のリスクが増加することが報告されています。
日本の学校保健安全法における出席停止期間や条件
伝染性紅斑は、学校保健安全法において「その他の感染症」に分類されており、必ずしも出席停止になるわけではありません。発疹が出ている頃には感染力はほとんどなくなっていると考えられるため、発熱や関節痛などの症状がなく、本人が元気であれば、学校を休む必要はないとされています。ただし、学校や保育園の判断による場合もあるため、感染が判明した際には、通っている施設に相談することが推奨されます。
妊産婦が感染した場合の問題点
妊婦が伝染性紅斑に感染すると、胎児にも感染し、胎児水腫や流産のリスクが高まることがあります。特に妊娠20週未満の感染例では、胎児死亡率が高くなると報告されています。妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、伝染性紅斑の流行時には、風邪症状のある人との接触を避け、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染予防を徹底することが重要です。また、周囲で伝染性紅斑の人がいる場合は、妊婦健診の際に医師に伝えることが推奨されます。
まとめ
伝染性紅斑は、一般的には軽症で自然に治癒する疾患ですが、妊婦や特定の基礎疾患を持つ方は注意が必要です。感染予防のため、日常的な手洗いや咳エチケットを心掛けましょう。