砂かぶれ様皮膚炎とは
砂かぶれ様皮膚炎(正式名称:小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎)は、乳幼児に発症しやすい皮膚疾患で、手のひらや足の裏に小さな赤い丘疹が多発するのが特徴です。この疾患は砂遊び後のような症状に見えるため「砂かぶれ様皮膚炎」と呼ばれることが一般的ですが、主な原因としてはウイルス感染が疑われています。


出典:Clinical profile of recurrent vesicular palmoplantar dermatitis in children and adolescents – PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6322509/
疾患概念
砂かぶれ様皮膚炎は、0歳後半から4歳ごろの乳幼児に発生しやすく、特に1歳前後での発症が多く報告されています。発症時期は比較的春から初夏(5~6月)が多く、やや女児に多いとされています。原因としてウイルス感染が挙げられますが、特定とウイルスではなく、ウイルス感染全般に出現しうる付随した症状と考えられております。
砂かぶれ様皮膚炎の診断
診断は主に臨床症状に基づき行われます。特徴的な症状として、手のひらや足の裏に1~2ミリ程度の赤い丘疹(所謂ぶつぶつ)が多数出現し、次第に融合して全体が赤みを帯びて腫れたように見えることが挙げられます。発熱はもともとのウイルス感染によってある場合とない場合ががあり、程度もバラバラであるため、一定の決まりありません。他の疾患との区別が必要で、例えば手足口病では皮膚のシワの溝に沿った楕円形のぶつぶつが現れ、川崎病では高熱・目の充血・赤い舌・指の腫れ・指の皮むけ・BCG接種部位の発赤など全身の症状が、溶連菌感染症ではのどの痛みや全身性の発疹がみられます。
砂かぶれ様皮膚炎の治療方法
砂かぶれ様皮膚炎は自然治癒する良性の疾患で、特別な治療が求められることはほとんどありません。ただし、かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬が使用されることがあります。ステロイド外用薬は比較的強力なものが用いられることが一般的です。また、皮膚が乾燥する場合は保湿剤(尿素軟膏やヘパリン類似物質など)を適宜使用することが推奨されます。
発症後の経過
砂かぶれ様皮膚炎は後遺症を残さず自然に治癒する疾患です。発疹が現れてから治癒するまでに約3~4週間かかりますが、軽度の場合は1~2週間で改善することもあり、こちらも一定の決まりはありません。再発はほとんどなく、他者に感染するリスクもありません。日常生活や保育園・幼稚園での活動に制限を加える必要はなく、通常通り過ごすことができます。
全体的に、砂かぶれ様皮膚炎は乳幼児に特有の一過性の皮膚疾患であり、適切な対処と観察を行うことで自然に改善します。保護者は子どもの皮膚の状態を確認し、かゆみなどの症状がひどい場合には医師の指示に従い適切な治療を行うことが重要です。