アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)とは
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)とは、シラミという吸血性の寄生虫が頭髪や体毛に寄生し、強いかゆみを引き起こす皮膚疾患です。
人に寄生するシラミには、頭髪に寄生するアタマジラミ、主に陰毛に寄生するケジラミの2種類があり、種類ごとに寄生する場所や感染経路が異なります。
アタマジラミは12歳以下の子どもに多くみられ、人へうつることもあるため、早めの対応が大切です。
2種類のシラミの違いと特徴
アタマジラミ
人の頭髪に寄生するシラミで、強いかゆみや湿疹を引き起こします。
成虫の体長は2~4mmほどで灰白色をしており、卵は約1週間で孵化し、人の皮膚から吸血を繰り返して約2週間で成虫になります。
感染経路は頭部と頭部の直接接触がほとんどですが、寝具、タオル、帽子などを共用することでもうつることがあります。保育園・幼稚園、学校など、集団生活を送るお子さんに多くみられます。
ケジラミ
人の体毛、主に陰毛に寄生するシラミです。感染すると、ちくちくとした強いかゆみが生じます。
体長1~2mmほどで、カニに似た形をしているのが特徴です。主な感染経路は、体毛の直接接触です。稀に、感染者が使ったタオルや寝具などを共用することでうつることもあり、ワキ毛やまつ毛に寄生することもあります。
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)の症状
シラミ症の主な症状は、強いかゆみです。かゆみによってイライラ感や不眠が生じ、生活に影響が出ることもあります。
強いかゆみ(掻痒感)
シラミが吸血する際に注入する唾液に対するアレルギー反応によって、かゆみが起こります。アタマジラミでは頭皮、ケジラミでは陰部などにかゆみを生じます。
初期はかゆみを感じにくい
シラミが1~2匹寄生し始めた段階ではほとんどかゆみを伴わず、3~4週間ほど経って数が増える頃に強いかゆみが生じます。寄生の初期段階は、自覚しにくい点に注意が必要です。
かゆみによる不眠・イライラ感
強いかゆみが続くことで眠りが浅くなったり、落ち着かなくなったりと、精神的な負担につながることがあります。その結果、日常生活に影響がでることもあります。
かき壊しによる二次感染
かきむしった傷から細菌が入り込むと、発熱や痛みを伴うことがあります。とびひ(伝染性膿痂疹)に進展して他人にうつしてしまうこともあるため、初期段階で治療を受けることが大切です。
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)の受診タイミングと判断のポイント
シラミ症は、疥癬(かいせん)、蕁麻疹(じんましん)、接触皮膚炎(かぶれ)、アトピー性皮膚炎など、かゆみを起こす類似疾患が多く、正しい診断が重要です。次のような症状がある場合は、早めに皮膚科医に相談しましょう。
- ・お子さんが頭部をかゆがる、シャンプーをしても髪に白い粒が見られる
- ・保育園・幼稚園、学校でシラミ症が確認されたり、感染のお知らせがあった
- ・市販のシラミ用シャンプーやパウダーを使ってもシラミが見つかる
- ・陰部、ワキの下、まつ毛(目元)のかゆみが続いたり、下着に黒や茶色の小さな点々(血糞・排泄物)を見つけた場合
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)の治療
シラミ症の診察・診断は、保険診療で行うことができます。シラミ症は、まず正しい診断が重要です。
当院では、皮膚科専門医・アレルギー専門医の資格を有する院長の下、必要に応じてダーモスコピー検査(医療用拡大鏡検査)や光学顕微鏡による検査を行い、シラミの虫体や虫卵を確認し、フケや疥癬、湿疹など他の疾患との判別に努めています。
アタマジラミの治療
フェノトリン製剤(スミスリン®Lシャンプーなど:第2類医薬品)
「スミスリン®Lシャンプー」などのフェノトリン製剤は、シラミの成虫や幼虫に対して殺虫効果を発揮します。フェノトリンはピレスロイド系殺虫成分で、除虫菊の成分から開発されたもののため、残効性や人への影響が少ないとされています。
シャンプータイプなので、普段のシャンプーと同じように頭髪に塗布して使用できます。髪になじませて5分ほど置いてから洗い流し、3日に1度(2日間の間隔を空ける)のペースで計3~4回繰り返します。卵には作用しないため、繰り返し使用することで、成虫が卵を産むのを防ぎ、シラミを駆除します。
フェノトリン製剤を10日ほど繰り返す理由
シラミを駆除するのに時間を要するのは、薬剤が卵には作用しないためです。
シラミの卵が孵化するまでには、およそ7日かかります。薬剤で退治できるのは孵化して出てきた幼虫や成虫だけなので、薬剤を1回使用しただけでは、卵が残ってしまいます。
そこで、初日・4日目・7日目・10日目のように間隔を空けて繰り返し使用し、孵化してきたシラミを順々に駆除していきます。この流れを10日間続けることで、卵から孵ったシラミまで含めた駆除を行うことができます。

ジメチコン製剤(シラミとりローションなど:医薬部外品)
ローションでシラミの成虫や卵を包み込み、窒息させることで物理的に駆除する方法です。殺虫成分を使わずに、卵の孵化を防ぐことができます。
乾いた髪の生え際までローションを塗り、5分以上置いてから洗い流します。2~3日おきに計3回が使用目安です。
フェノトリン製剤が効きにくいアタマジラミは、国内では2001年に初めて確認されています。フェノトリン製剤を正しく使っても駆除できない場合は、ジメチコン製剤への切り替えを検討します。

くし取り(ウェットコーミング)
目の細かいすきぐしを使い、濡れた髪から成虫と卵を物理的に取り除く方法です。
お子さんにも使え、薬剤と併用することができます。薬剤を使わずくし取りだけで行う場合は、シラミの生活サイクル(卵から成虫まで)をカバーするため、3週間ほど続ける必要があります。

アタマジラミは同居されているご家族全員で一緒にケアを
アタマジラミは家庭内でうつることがあり、一人だけケアしても再びシラミの寄生が起こることがあります。
症状の有無にかかわらず、同居しているご家族全員が同時に頭髪を確認し、必要に応じて一緒にケアを行うことをおすすめしています。
ケジラミの治療
ケジラミには、フェノトリン製剤である「スミスリン®Lシャンプー」などを陰部に使用します。あわせて、剃毛して虫と卵を物理的に取り除く方法もあります。
ケジラミはパートナーの方と一緒に治療することが重要
ケジラミは性的接触によってうつるため、ご本人だけを治療しても再びうつり合うこと(ピンポン感染)があります。過去1ヶ月以内に性的接触のあったパートナーの方(複数いる場合は全員)も、症状の有無に関わらず一緒に治療を受けることが大切です。
また、治療が終わるまでは性的接触を避けるようにしてください。
シラミ駆除薬の費用について
シラミ症の診察・診断は保険診療で行えますが、フェノトリン製剤やジメチコン製剤などの駆除薬は市販薬となるため、全額自己負担(保険適用外)となります。ご自身で、薬局やドラッグストアで購入いただくことになりますので、あらかじめご了承ください。使い方や回数について不安がある場合は、診察の際にご案内します。
よくある質問
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Q1. アタマジラミは不潔にすることで感染しますか?
A1. シラミ症は、髪や体の清潔さとは関係なく起こります。
アタマジラミは直接的な頭部の接触が主な感染経路で、寝具やタオル、帽子などを共用することでもうつることがあります。毎日きちんと洗髪していても寄生することがあるので、「不潔だからうつった」と考える必要はありません。周囲でシラミ症が発生した際は、早めに頭髪の状態を確認することが大切です。
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Q2. アタマジラミになったら学校や園を休む必要がありますか?
A2. アタマジラミは、厚生労働省や文部科学省のガイドラインで「通常出席停止の措置は必要ない」とされています。
ただし、園や学校ごとの方針がある場合もあるので、通われている施設にご確認ください。あわせて、家庭での駆除ケアを早めに始めることをおすすめします。
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Q3. 家族にシラミをうつさないためにはどうすればよいですか?
A3. タオルやクシ・ブラシ、衣類、帽子などの共用を避けることが基本です。
衣類やタオルなどは、55℃以上の温水に10分ほどつけてから洗濯するのが推奨されています。また、保護者の方がお子さんの頭髪を丁寧に調べることで、成虫や卵を早い段階で見つけることができます。
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Q4. ケジラミは性感染症ですか?
A4. ケジラミの主な感染経路は、性行為などの直接接触とされています。
クラミジアやトリコモナス、梅毒など他の性行為感染症を合併していることもあるため、あわせて検査や治療が必要になる場合があります。またパートナー間での再感染を防ぐため、パートナーと一緒に治療を行うことがすすめられています。
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Q5. 症状がない家族やパートナーも一緒に治療した方がよいですか?
A5. シラミは初期にはかゆみが出にくいため、症状がなくてもシラミが寄生していることがあります。
アタマジラミの場合は、同居しているご家族全員が一緒に治療を行うことで、繰り返す家庭内感染を予防できます。
ケジラミの場合は、過去1ヶ月以内に性的接触のあったパートナーの方全員が同時に治療を受けることが大切です。ご本人、一人だけ治療しても、再びうつし合ってしまうことがあるためです。
アタマジラミ・ケジラミ(シラミ症)の関連項目
以下の項目もぜひ参考にしてみてください。
記事制作監修
成増駅前かわい皮膚科
院長 河合 徹














