イボの原因とは?種類や治療方法も解説

痛みやかゆみなどの症状がない場合も多く、身体のさまざまな部分にある日急にポコッとできるのが「イボ」です。
イボの原因は大きく2つに分かれており、原因やできる場所によって複数の種類があります。
この記事では、イボができる原因や種類、できてしまった場合の治療法などについて紹介します。
よくイボができてしまう方、現在イボができており治療方法を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
イボとは?

そもそも、「イボ」とは一般的に皮膚がポコッと盛り上がってできた小さな突起物を指します。
医学的にはイボではなく「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれます。
イボは基本的に良性のできものであるため、早急な治療が必要なわけではありません。
しかし、一部悪性腫瘍の可能性もあり、自己判断で放置するのではなく医師の診断を受けるようにしましょう。
イボの原因

イボができる原因は主に、「ウイルス性」と「紫外線・加齢・摩擦」の2つに分かれています。
それぞれの詳しい原因について解説していきます。
ウイルス性
子どもや若い方にイボができた場合、多くはウイルスが原因です。
ウイルス性イボの感染経路は人と人の直接的な接触だけではなく、お風呂や汗ふきマット、バスタオルなどを介した間接的な接触もあります。
しかし、ウイルスに感染してからイボができるまでの期間は1~6ヶ月ほどであり、感染経路の特定は難しいでしょう。
イボができるウイルスは主にヒトパピローマウイルス(HPV)と伝染性軟属腫ウイルスがあります。
それぞれのウイルスについても解説していきます。
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚や粘膜に感染することでイボを発症させます。
ヒトパピローマウイルスには、100種類以上の型があるといわれており、感染部位や形状などによってさまざまな型に分類されます。
イボができるウイルスとして知られていますが、同時に子宮頸がんや肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因にもなるウイルスです。
性経験のある女性の50%以上が生涯で一度は感染するといわれているほど、一般的なウイルスです。
伝染性軟属腫ウイルス
伝染性軟属腫ウイルスは皮膚内部に侵入し、皮膚細胞内でウイルスが増殖することで伝染性軟属腫(水イボ)となります。
伝染性軟属腫を潰すと伝染性軟属腫ウイルスが拡散され、自身の体中に広がるだけではなく、他人も感染させてしまう可能性があります。
皮膚同士の接触だけではなく、バスタオルの共有でも感染が広がる可能性があるため、家族間感染に注意が必要です。
紫外線・加齢・摩擦
高齢の方にイボができた場合、脂漏性角化症とも呼ばれる老人性疣贅である可能性が高く、原因は紫外線・加齢・摩擦によるものです。
皮膚のさまざまな場所にイボができますが、特に紫外線の影響を受ける頭皮や顔などに発症することが多いです。
イボの種類

イボは原因・できやすい場所・特徴などによってさまざまな種類に分類されます。
ここでは、よくできるイボを7種類に絞って解説していきます。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は最も一般的なイボで、ヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。
尋常性疣贅は体中のどこにでも発症するイボですが特に爪の付け根部分にできることが多く、爪の成長に影響し、爪が変形することもあります。
爪を噛む癖がある方や水に触れる仕事をする方など指先に怪我をしやすい方に多いです。
イボの触感は硬く、表面がざらざらとして円形または不規則な形をしています。
大きくなっても直径1cm未満である場合がほとんどです。
青年扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
青年扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)は若い女性の顔や腕にできやすいイボで、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因です。
青年扁平疣贅は尋常性疣贅などの一般的に想像されるイボとは異なる特徴があります。
まず特徴的なのが形です。
一般的なイボはポコッと盛り上がっていますが、青年扁平疣贅は平べったく小さな突起がたくさんできます。
複数できることも多く、線状に発症することもあります。
また、イボがよく発症する箇所として顔や腕が挙げられ、そのなかでもおでこに発症することが多いです。
色も特徴的で、茶色っぽい色をしています。
そのため、イボではなくシミと勘違いされることもあります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスのなかでも6型・11型などに感染することにより、生殖器周辺にイボが発症します。
性感染症の1つで、性行為や性行為と似た行為をすることで感染します。
淡紅色や褐色で痛みやかゆみはない場合が多く、尖った形のイボが複数発症する場合が多いです。
放置するとイボが大きく数も増え、重症化すると不妊の原因になることもあります。
イボができたことに気がついたら、女性は婦人科、男性は泌尿器科または皮膚科を受診しましょう。
ミルメシア
ミルメシアはヒトパピローマウイルスの1型に感染することで、主に足の裏や手のひらに発症します。
足の裏にできやすく見た目も似ていることから、うおのめやタコと間違われることもありますが、原因が異なるため治療方法などが違います。
また、肌が乾燥していたりアトピー性皮膚炎で傷ができていたりすると、肌のバリア機能が低下し、感染しやすいです。
ミルメシアは小さくても違和感を覚えることがあり、大きくなると強い痛みが生じる可能性があります。
素人ではミルメシアかうおのめやタコなのか見極めるのは難しいため、手足に気になるものがあればまずは病院を受診しましょう。
伝染性軟属腫(水いぼ)
伝染性軟属腫(水いぼ)は伝染性軟属腫ウイルスに感染することで発症し、子どもの5~10%に感染します。
特にアトピー性皮膚炎や湿疹がある子どもの感染リスクが高く、1年以内に自然治癒する場合がほとんどです。
しかし、ほかの子どもや家庭間感染する可能性がある点や、遅ければ治るまでに2~3年かかる点からも自然治癒を待つのではなく、治療を受けるのがよいでしょう。
伝染性軟属腫は肌色で1~5mmの隆起が多数出現し、水ぶくれのような光沢感のある柔らかいイボが発生します。
初期はかゆみがある場合もありますが、多くはかゆみも痛みもありません。
消失する速度よりも、伝染性軟属腫の範囲が拡大する速度の方が早く、徐々に増え続けますが、一定期間を境に拡大は止まり消失していきます。
一定期間で拡大が止まる理由としては、免疫反応が起因しているとされていますが、明確な理由は判明していません。
老人性疣贅(脂漏性角化症)
老人性疣贅(脂漏性角化症)は老人性イボとも呼ばれており、紫外線・加齢・摩擦などが原因です。
ウイルス性ではないため、他人に移る心配はありません。
老人性疣贅は早ければ20代、多くは40代以降に発現し、徐々に増えていきます。
多くは紫外線がよく当たる頭皮や顔などに発現しますが、全身に見られることもあります。
紫外線や加齢以外に遺伝子変異の関連もあるとされていますが、現状はっきりとした関連性は分かっていません。
軟性線維腫(アクロコルドン)
軟性線維腫(アクロコルドン)は、首やわきの下にできやすく紫外線・加齢・摩擦などが原因です。
こちらも老人性疣贅同様にウイルス性ではないため、他人に移る心配はありません。
軟性線維腫は1〜3mmほどで、初期は皮膚から盛り上がった状態です。
症状が進行するとイボは少しずつ大きくなり、皮膚にぶら下がったような状態になることもあります。
症状が現れるのは30歳以降が多く、女性や肥満体型の方にできやすい特徴があります。
悪性?良性?イボの見分け方

イボの多くは良性ですが、稀に悪性のイボも存在します。
ここではイボの硬さや表面の特徴から悪性と良性のイボの見分け方を解説します。
イボの硬さ
悪性のがんの場合は、イボのような物の表面は硬く凸凹している場合が多く、良性のイボはゴムのように柔らかく表面は滑らかである場合が多いです。
また、悪性の場合イボのように隆起している部分(がん細胞)が周りの組織を癒着しているため、隆起部分を押してもあまり動きません。
一方で、良性のイボは独立しているため、イボ部分を押すとこりこりと動きます。
イボの表面
悪性であれば凹凸があり、良性であれば滑らかな場合があると触れましたが悪性の場合、出血やジクジクとした痛み、かさぶたなどがあることもあります。
良性のイボの表面は多少擦れても傷になったりしませんが、悪性の場合は表面がもろく少しの擦れで傷になってしまいます。
正確に見極めるためには診察を
ここでは、イボの硬さや表面で悪性か良性かの見分け方を解説しましたが、素人の見解で悪性と良性を決めつけるのは危険です。
イボの種類や状態によっては、悪性でありながら良性のような性質を持っていたり、良性でありながら悪性のような性質を持っていたりします。
医師であっても見た目だけではなく、場合によっては検査をしたうえで診断を出します。
「イボかな?」と思ったら自己判断をするのではなく、一度皮膚科などを受診しましょう。
イボの治療方法

イボの治療方法はさまざまで、イボの種類や範囲などによって最適な治療方法が異なります。
最後に、よく選ばれるイボの治療方法を8つ解説します。
液体窒素
イボの治療方法で最も一般的に選ばれるのが液体窒素を使用したものです。
主な治療方法としては、液体窒素を浸した綿棒をイボに当てる方法と液体窒素スプレーをイボに噴射する方法があります。
どちらもイボを液体窒素で凍結し、イボの原因であるウイルスを凍死させます。
治療後はイボがかさぶたになり、自然と落ちて治療完了です。
治療は1回で完了することもありますが、イボの状態などによっては1~2週間に1度の頻度で複数回行う場合もあります。
※当院のウイルス性イボ(尋常性疣贅)についての説明記事はコチラ。
イボはぎ法
イボはぎ法は局部麻酔を行い眼科用剪刃などでイボを切除する方法です。
一度の施術で確実にイボが除去できる治療法であり、液体窒素治療では効果が薄いとされる足裏・皮が厚い部分・イボが深い所まで入り込んでいる場合に有効です。
イボの範囲ぎりぎりを切除しますが、傷になるため治るのに時間がかかってしまったり麻酔が切れたら痛みを感じたりすることがあります。
※当院でこの治療は行っておりません。
切除法
切除法は隆起したイボなどをメスを使用して切除する方法です。
イボはぎ法と似ていますが、イボはぎ法は外科的施術法で切除法はメスを使用してイボを切除する外科的切除法に含まれる腫瘍摘出術です。
切除法では大きく切除した場合は縫合も行います。
同じ外科的切除法ではありますが、イボの大きさなどによって最適な方法が選ばれます。
イボの場所や大きさによってはより設備の大きい病院への紹介が必要になるかもしれません。
※当院でこの治療は行っておりません。
局所注射
イボが発症した部分に局所注射で薬剤を注入することでイボの解消を目指します。
月1の治療をイボが軽快するまで2〜3回を目安に治療を行います。
イボ治療で注入する薬剤は主にブレオマイシンやインターフェロンです。
ブレオマイシン
ブレオマイシンはがん治療にも用いられる抗腫瘍性抗生物質です。
ウイルス性のイボに少量を注入することでウイルスの細胞を破壊するため、治療効果を感じられるでしょう。
痛みが強い治療であるため局部麻酔を行ったうえで、ブレオマイシンを注入します。
また注射部位に腫瘍や傷跡、爪周辺であれば爪の変形などの副作用が生じるかもしれません。
※当院でこの治療は行っておりません。
インターフェロン
インターフェロンをイボ周囲に注入することで、免疫作用を高めイボの原因になるウイルスの増殖を抑えます。
ブレオマイシンとの併用療法をおすすめされることが多く、イボ治療の最終手段として提案されることが多いです。
※当院でこの治療は行っておりません。
外用薬
イボが発症した部位に外用薬を塗布することで、イボの軽快を目指します。
液体窒素などほかの治療が難しい場合などに使用されますが、多くの場合は外用薬単体ではなく、ほかの治療と併用されます。
ビタミンD3製剤外用 ODT
ビタミンD3製剤外用 ODTをイボに塗布して表皮角化細胞の増殖を抑制し、皮膚が厚くなることを防ぎます。
足の裏など皮膚が厚い部分は塗布だけでは十分な効果を得られない可能性が高いです。
そのため、ビタミンD3製剤外用 ODTを塗布したうえでラップなどを巻いて密封することでより高い治療効果が期待できます。
べセルナ軟膏
べセルナ軟膏はイボのなかでも尖圭コンジローマの治療に使用されます。
塗布した部分の免疫作用を高め、原因となるウイルスの増殖を抑えます。
尖圭コンジローマのように皮膚が薄い部分にイボが発症した際に、効果が期待できます。
内服薬
イボは内服薬でも軽快を目指せます。
液体窒素やイボはぎ法と比べるとイボがなくなるまでに時間がかかってしまう点が少し欠点です。
ヨクイニン
ヨクイニンとはイネ科ハトムギの種子に含まれる成分を抽出した漢方薬の1つです。
3ヶ月ほど服用するとウイルスに対する免疫作用を高める効果があるとされています。
特に子どもに対して効果が高く、イボ治療ではヨクイニン単体ではなく、液体窒素治療と併用されることが多いです。
チガソン
チガソンとは、ビタミンA誘導体のレチノイドの一種で、皮膚細胞の成長・分化を正常化する作用を持っており、異常な角化を抑制することでイボの軽快を促します。
チガソンも液体窒素治療と併用されることが多いです。
しかし、ビタミンAを妊娠中や妊娠のある可能性がある女性が内服することで、胎児に重篤な奇形を引き起こす可能性が報告されています。
そのため、妊娠中や妊娠の可能性がある女性がチガソンを服用することは禁忌です。
胎児への影響を加味してチガソンを服用した場合、女性は最低2年・男性は最低半年の避妊が必要です。
こういった危険性があるため、チガソンを処方している病院は多くありません。
もし服用する際には今後の妊娠の予定なども含めしっかりとパートナーや医師と相談しましょう。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、イボやほくろなど盛り上がった部分を取り除ける治療方法です。
切開よりも傷跡が残りにくく、肌の奥深くや周りの組織には余分なダメージを与えません。
治療を行う際には、局部麻酔を行い痛みをできるだけ抑えながら治療を進めます。
炭酸ガスレーザーの効果があるのは皮膚の表面のみで深部には届きません。
イボを除去した傷跡が早く治癒する点はメリットですが、イボのウイルスが深部にまで届いている場合は再発する可能性があります。
Vビームレーザー
Vビームレーザーは、イボの原因であるウイルスへの血管栄養をレーザーによって熱破壊することで、ウイルスを死滅させます。
尋常性疣贅は血管から酸素と栄養を受け取り成長するため、レーザーで血管を破壊することでウイルスが酸素と栄養を受け取れない状態にします。
液体窒素での治療では効果が低かった、効果が期待できない場合に選ばれます。
※当院でこの治療は行っておりません。
まとめ
この記事では、イボができる原因や種類、できてしまった場合の治療法などについて紹介しました。
イボのウイルスも細かく分かれており、感染するウイルスやイボが発症する場所、形状などによってイボの種類が異なり、有効な治療方法も違います。
イボはほとんどが良性ですが稀に悪性の場合もあるため、自己判断はせず、必ず病院を受診して診断を受けましょう。
成増駅前かわい皮膚科では、イボをはじめとしたさまざまな皮膚トラブルに対応しています。
イボなどの皮膚腫瘍は見た目だけでは判断がつかない場合もあるため、適切な検査を行ったうえで最も最適な治療方法を提案します。
場合によっては医療連携のある病院を紹介する事も可能です。
できるだけ傷跡を最小限にする治療を心がけているため、顔など傷跡を残したくない場合でも安心してご相談ください。
記事制作監修

成増駅前かわい皮膚科
院長 河合 徹